『葵上』を鑑賞する

  1. 『葵上』
  2. 『葵上』を鑑賞する
  3. 鑑賞のポイント
  4. その四 横川小聖の祈祷

その四 横川小聖の祈祷

能(喜多流)『葵上』
平成12年3月11日 国立能楽堂
〔シテ〕塩津哲生 〔ワキ〕福王茂十郎

葵上の容態がますます悪くなり、彼女に取り憑いた物怪の正体が六条御息所の生霊であることが明らかになったので、朱雀院の臣下[ワキツレ]は、横川小聖[ワキ]に祈祷を依頼することにします。左大臣家の従者[アイ]が使いに出て、行者の家を訪れ、すぐに彼を屋敷に案内します。到着した行者は、葵上のただならぬ様子を見るやいなや、すぐに病床の前で悪霊を退けるための祈祷を始めます。まず、「ノット」という囃子が演奏されます。これは、能で神職や山伏が祈りを捧げる場面に用いられる、プッ、ポッ、という小鼓の音色が独特な音楽です。行者の唱える呪文は、きびしい修行をした正統な山伏であることを宣言するもので、これから迎える怨霊との戦いの序曲となります。舞台には小聖の祈りの声と数珠を揉(も)む音が高らかに響きます。祈りを表現する謡と囃子によって舞台の雰囲気が緊迫していくなか、御息所[後シテ]の怨霊が姿をあらわします。

その三


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