場面(一):淡路町の段
場面(二):封印切の段
場面(三):封印切の段
「淡路町の段」の最後、大金の300両(約3000万円)を武家屋敷へ届けようと出掛けた忠兵衛(ちゅうべえ)は、つい梅川(うめがわ)の元へと向かってしまいます。この場面を、俗に「羽織落とし」と呼んでいます。映像は、まっすぐ武家屋敷へ行くべきか、その前にちょっと梅川の顔を見てから行こうか、と迷っていた忠兵衛が、ついに誘惑に負け、羽織が脱げ落ちるのも気付かずに、夢中で梅川のいる越後屋を目指す1シーンです。
「一度は思案。二度は無思案(ぶしあん)」と、最初は思案をするものの、次にはその思案もなく、分別を失った忠兵衛は、大金を持ったままで越後屋に向かい、その金を使ってしまうことになるのです。
『冥途の飛脚』
国立劇場第122回文楽公演 1998(平成10)年2月
「淡路町の段」[8]豊竹嶋大夫・[8]竹澤団六(現・[7]鶴澤寛治)
「封印切の段」[9]竹本綱大夫・[5]鶴澤清二郎
亀屋忠兵衛:[3]吉田簑助
遊女梅川:吉田文雀
丹波屋八右衛門:吉田玉幸