能楽[能・狂言]の歴史

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時代タイムライン

江戸時代は能が現在の姿へと形作られた時代です。シテ方に「喜多(きた)流」が誕生するなどの組織面だけでなく、芸の内容も徐々に今の形に近づいていきました。能と狂言が他の中世芸能と異なり、近世も生き続けたのは、儀式に用いる「式楽」として江戸幕府の保護を受けたことによります。上方には独自の活動をする役者もいましたが、多くの能役者は幕府の正式な儀式や将軍・諸大名たちの私的催しに出演し、幕府・藩から給与を受けるとともに生活や芸事に対する厳格な監視を受けていました。また、観るだけでなく上流階級がみずから演じる娯楽であったのも能の大きな特色で、能役者は貴人たちの師範も務めていました。能は、このように権力者と密接な関係があったため、常に将軍の好みや政治状況の影響を強く受けていましたが、江戸時代を通じ幕府の儀式を彩る華であったといえるでしょう。

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『武鑑』

『武鑑』

『御城御内証御能御囃組』

『御城御内証御能御囃組』

『享保六年書上』

『享保六年書上』

紫調小鼓

紫調小鼓

コラム:狂言の歴史(3)
コラム:江戸幕府の式楽

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