狂言の演目と鑑賞

前へ佐渡狐(さどぎつね)次へ

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佐渡の国と越後の国の百姓が年貢(ねんぐ)を納めに都へ行く途中、道連れになります。越後の男は佐渡には狐がいないだろうと言い、佐渡の男はいると言い張り、2人は腰の刀を賭けることにします。都の領主の館に着くと、佐渡の男は奏者(そうしゃ)[取次役]に年貢を納めるついでに事情を話し、賄賂(わいろ)を贈ります。みかえりに奏者は、狐を見たことがない佐渡の男に細かく狐の姿を教えます。あとからきた越後の男が佐渡の男に狐に関する質問をしますが、奏者の助けで賭けに勝った佐渡の男は刀を取って去ります。納得のいかない越後の男は佐渡の男を呼び止め、狐の鳴き声を尋ねます。佐渡の男は鳴き声を間違え刀を奪われてしまい、「自分の分だけでも返してくれ」と言いながら後を追います。

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佐渡島は、新潟県の沖に位置しますが、江戸時代には金の産出地として有名になっていました。古くから罪人が送られる流刑地としての歴史も持ち、能楽の大成者の世阿弥が時の権力者にうとまれ佐渡に流されたことで知られています。本曲では辺境の地というイメージで語られているようですが、越後も、佐渡とは互いに見える距離のいわばご近所同士なので、五十歩百歩のようなおかしみも生んでいます。佐渡の百姓と奏者の賄賂(わいろ)をめぐるやりとりは、最初は賄賂を見て渋り、強い口調で叱った奏者が結局あたりを見回しながら受け取ってしまうなど、コミカルで笑いを誘われますが、権威や賄賂に弱い人間の本性も現れている場面です。

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[越後の男に狐の鳴き声を尋ねられ、答えられない佐渡の男がごまかそうとする場面より]
越後「サアサア早う鳴き声をおしゃれ」
佐渡「犬よりは少し小さい」
越後「それはなり恰好(かっこう)で合点じゃ鳴き声を言え鳴き声を言え」
佐渡「耳せせまで裂けてある」
越後「それも口で合点じゃ。サアサア狐の鳴き声は鳴き声は」
佐渡「ふうっさりと太う長い」
越後「それは尾のことじゃ。おのれ鳴き声を言わぬにおいては、この腰の物をやることではないぞ」

『佐渡狐(さどぎつね)』

『佐渡狐』[大蔵流]
シテ[佐渡のお百姓]/25代目・大蔵彌太郎、アド[越後のお百姓]/大蔵吉次郎、アド[奏者]/4代目・茂山忠三郎
2007年[平成19年]5月25日 国立能楽堂第122回狂言の会 [写真:青木信二(国立能楽堂)]

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