歌舞伎舞踊を彩る要素

音楽

三味線音楽について

歌舞伎舞踊には三味線音楽が使われます。三味線は、室町時代に琉球(りゅうきゅう)から堺の港[現在の大阪府堺市]に伝来したといわれています。最初は三味線の胴に蛇の皮を使っていたのを、猫や犬の皮に変えたり、撥(ばち)の形態を変えたりして、日本独自の新しい楽器に改造しました。江戸時代初期になると流行歌や民謡などに使われ始め、やがて歌舞伎や人形浄瑠璃の音楽として取り入れられるようになります。

歌舞伎舞踊の主な三味線音楽には、長唄義太夫常磐津清元の4つの種類があります。大きく分けると唄物(長唄)と語り物(義太夫、常磐津、清元)に分けられます。

それぞれの音楽が単独で演奏されることがほとんどですが、曲によっては、掛合(かけあい)といって2、3種の音楽を一緒に演奏する形式もあります。例えば『身替座禅(みがわりざぜん)』は長唄と常磐津の掛合、『紅葉狩(もみじがり)』は長唄、義太夫、常磐津の三方掛合(さんぽうかけあい)です。

歌舞伎舞踊が女方の担当だった頃は、長唄が主流でした。江戸時代中期に立役が舞踊に進出すると、常磐津の舞踊劇が流行します。さらに江戸時代後期には清元が創られ、人気を得ていきます。義太夫の成立は長唄より古く、人形浄瑠璃の音楽として誕生し、後に歌舞伎に取り入れられました。

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