歌舞伎舞踊を彩る要素

扮装

衣装と鬘の特徴

歌舞伎舞踊の扮装は、動きやすい扮装かどうかによって身分の上下が判別できます。上流階級の人々は家事や雑用等をしないので、優雅で動きにくい衣裳を着け、庶民層は動きやすい格好をしているのです。そして同じ庶民層でも扮装には役の特徴が表れており、また江戸時代の庶民の格好をリアルに写したのではなく、華やかさが加えられているのが特徴です。

女方の扮装

お姫様である『奥庭狐火』の八重垣姫(やえがきひめ)や、位の高い遊女である『廓文章』の夕霧(ゆうぎり)は、刺繍(ししゅう)のたくさん入った重い衣裳を重ねて着ています。

『櫓のお七』のお七(おしち)は町娘ですが、お嬢様なので振袖を着ています。『近江のお兼』のお兼(おかね)は働く村娘なので、振袖に比べて袖(そで)が短い着物で、裾(すそ)も短く着た動きやすい格好をしています。

立役の扮装

上流階級の公家(くげ)である『関の扉』の大伴黒主(おおとものくろぬし)は束帯(そくたい)という袖の大きな衣裳、武士である『将門』の光圀(みつくに)は紋付き(もんつき)の着物に袴(はかま)を着ています。

駕かきである『戻駕』の吾妻の与四郎(あずまのよしろう)と浪花の次郎作(なにわのじろさく)は裾を短く着た軽装、漁師である『三社祭』の浜成(はまなり)・武成(たけなり)兄弟は足を丸出しにした格好になっています。

文化デジタルライブラリー

ページの先頭に戻る