歌舞伎舞踊の作品と表現

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引き抜きとぶっかえり

「引き抜き」

『娘道成寺』7代目中村芝翫の白拍子花子
1990年[平成2年]3月 国立劇場 第159回歌舞伎公演

引き抜きとぶっかえりはどちらも舞台の上で瞬間的に衣裳を変える手法です。

引き抜き

「引き抜き」は、2枚の衣裳を重ねて縫い合わせ、その糸を抜いて上の衣裳を引っ張るとパッとはがれて、下の衣裳が現れるという仕掛けです。『鷺娘(さぎむすめ)』、『女伊達(おんなだて)』など女方の舞踊に多く見られます。

映像:『娘道成寺』

赤の着物から一瞬にして水色の着物に替わり、ショー的効果をあげます。

ぶっかえり

「ぶっかえり」は、それまで偽っていた姿から正体をあらわす時の演出です。肩の所の糸を引くと、外側に着ていた衣裳が前後に裏返って下半身を覆うように垂れ下がり、今まで内側に着ていた衣裳が現れる仕掛けです。『関の扉(せきのと)』の関兵衛と墨染、『将門(まさかど)』の滝夜叉姫に見られます。

映像:『関の扉』

関兵衛が本性をあらわすシーンです。関兵衛は「我こそは中納言家持(ちゅうなごんやかもち)が嫡孫(ちゃくそん)、天下を望む大伴の黒主とはおれがことだわやい」と名のった後、仮の姿の関兵衛から本性の大伴黒主の姿に「ぶっかえり」をします。

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