作品の周辺
『六歌仙(ろっかせん)』は、元は小町以外の男性歌人5人を1人で踊り分けるという設定で作られたものです。風流で名高い5人の男性が、小町への恋に狂った様子を見せるのがユニークです。この原型は江戸時代中期に上演された『化粧(よそおい)六歌仙』です。仕丁(じちょう)[下男]が小町を口説き落とそうとして、5人の歌人に変装して現れるというものでした。これが江戸時代後期になると、仕丁が変装するという設定が取り払われ、5人の歌人が次から次へと現れて小町を口説くという単純な筋になりました。 『遍照(へんじょう)』は格調高い僧、『業平(なりひら)』は優雅な公家、『喜撰(きせん)』は風流なお坊さん、『黒主(くろぬし)』は骨太な公家という点は原型のまま受け継がれました。『文屋(ぶんや)』は老いた公家だったのが壮年の公家の設定になりました。
