歌舞伎舞踊の作品と表現

作品概要

通称 吉野山
本名題(ほんなだい) 道行初音旅(みちゆきはつねのたび)
初演年度 文化5年(1808年)
音楽 清元義太夫
題材による分類 道行物

静御前(しずかごぜん)と佐藤忠信(さとうただのぶ)の主従の旅の模様を描いています。静御前は義経の愛人、忠信は義経の家臣で静の旅のお供をしています。実はこの忠信は狐が化けたものでした。本物の忠信は、母親の病気見舞いに故郷に帰り、そこで自分も病になり療養しています。静の持つ「初音鼓(はつねのつづみ)」は、雨乞いの祈りのために、狐の忠信の父狐と母狐の皮が張られたものです。長い間、宝として宮中に納められていたため、狐の忠信は鼓に近寄ることもできませんでしたが、後白河院(ごしらかわいん)が義経にその鼓を与え、さらに義経が静に形見として鼓を与えたので、狐は忠信に化けてそばに居ようとしたのです。そのため、旅の途中で時々はぐれてしまっても、静が鼓を打つと、忠信がどこからともなく現れます。忠信が時折、鼓に愛しそうに頬ずりをしたり、時折手が狐の手になるのは、狐であることを暗示しています。

静と忠信は桜が満開の吉野山でしばしの休息をとります。忠信が義経から賜った鎧(よろい)の上に、静が初音鼓を乗せ、義経の姿になぞらえます。この仮の義経の前で忠信が踊る「屋島の合戦の物語」が見どころです。

この物語では平家方の勇者として名高い悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)と源氏の武者、三保谷四郎(みほのやしろう)との一騎打ちの模様、2人が兜のシコロを引き合う力競べ(ちからくらべ)の様を見せます。そして、平家の大将・教経(のりつね)が義経を狙って放った矢を、忠信の兄・継信(つぎのぶ)が義経をかばって胸板に受けて討ち死にする様子を再現し、涙にくれます。

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