巻一 天紋巻二 地理巻三 人事巻五 生植・動物巻七 人物
『戯場訓蒙図彙』は、享和3年(1803年)に出版された歌舞伎を題材とした読みものです。作者の式亭三馬は、滑稽本を得意とした戯作者ですので、内容は堅苦しいものではありません。本文では歌舞伎の世界を芝居小屋の外から客席・楽屋までの「戯場国」、舞台の上の「狂言国」という二つの国に見立てています。そしてそれぞれの国の事象を天紋、地理、人事、生植・動物、人物などの項目に分類し、皮肉を交えて面白おかしく解説しています。多くの解説には浮世絵師の描いた挿絵が添えられおり、当時の芝居小屋の様子のみならず大道具、立ち廻りの型まで視覚的にも江戸歌舞伎を楽しむことが出来ます。特に人物の項には、当時の活躍していた47人の俳優が色刷りで描かれており、現在でいう俳優名鑑の機能を持っています。 役者絵は、当時役者絵を得意として人気があった初代歌川豊国が描いたものです。このように当時の観客のニーズに文章とビジュアルという両面で応えている『戯場訓蒙図彙』は、時代を超えて江戸時代の歌舞伎を知りたいという現在の観客のニーズにも十分応えてくれるはずです。