演目と役柄

主な役柄

能の登場人物

能の演目の多くは、芸能として大成した室町時代(14〜16世紀)によく知られていた文学や伝承に題材を求めています。そのため、実在か架空かを問わず、後世に名を知られた人物がよく登場します。また、神や鬼などこの世のものではない存在も現れます。

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  • 神・精霊
  • 六条御息所
  • 小野小町
  • 在原業平
  • 平清経

狂言の登場人物

狂言に登場するのは、作品が作られた室町時代の人々。多くの場合、名前はありませんが、どこにでもいそうな身近に感じられる人たちばかりです。いろいろな演目へ、よく似た性格や役どころで現われ、服装にも一定の決まりを持っています。

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  • 太郎冠者
  • 大名
  • 女
  • 山伏
  • 鬼
神・精霊

明るく清らかなたたずまい

神・精霊 かみ・せいれい

年を経た松や桜などの精は、老人の姿で登場することが通例です。住吉明神など日本の神話にも描かれている神が登場し、世の平安や長寿を祝います。一方、龍神や雷神が登場し、その威を示して激しく舞うこともあります。

登場する演目

『高砂(たかさご)』『西行桜(さいぎょうざくら)』など

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六条御息所

誇り高く傷つきやすい魂

六条御息所 ろくじょうのみやすどころ

平安時代の貴族社会を描く『源氏物語(げんじものがたり)』に登場する六条御息所は、夫である皇太子に先立たれた身分の高い女性です。嫉妬のあまり身体から抜け出した魂が恋敵に害を与えてしまう一方、死後も迷い続ける哀しい女性としても描かれます。

登場する演目

『葵上(あおいのうえ)』『野宮(ののみや)』

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小野小町

老いたる美女の衰えぬ才気

小野小町 おののこまち

現在でも女性の美しさの例えに用いられるほど、才色兼備とされた歌人。能では華やかな若い頃よりも、才気衰えぬ老境の方が多く扱われます。落ちぶれた身を嘆き狂乱することもあれば、老いた身を恥じながら昔を懐かしんで舞うこともあります。

登場する演目

『草紙洗(草紙洗小町/草子洗小町・そうしあらい/そうしあらいこまち)』『卒都婆小町(卒塔婆小町・そとばこまち)』など

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在原業平

恋多き美男の華やかな面影

在原業平 ありわらのなりひら

『伊勢物語(いせものがたり)』のモデルとみなされる実在した歌人で、多くの能で取りあげられています。業平自身が主役として現われるだけでなく、色好みの男性として、女性の霊が思慕する対象としても登場します。

登場する演目

『井筒(いづつ)』『小塩(おしお)』など

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平清経

滅びゆく平家の貴公子

平清経 たいらのきよつね

平家と源氏による争乱は、『平家物語(へいけものがたり)』で創作を交えて描かれ、武将たちの悲劇が多くの能で取りあげられています。敗走する平家の先行きを憂いて自殺した平清経は、再会する約束を果たせなかった妻のもとへ、霊となって現われます。

登場する演目

『清経(きよつね)』

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太郎冠者

狂言を代表する明るい人気者

太郎冠者 たろうかじゃ

太郎冠者は、多くの演目に登場する、狂言の世界の人気者です。冠者(かじゃ)とは使用人のこと。主人に叱られながらも逆にやり込め、知恵が回ってもどこか抜けている、明るい役どころです。丈がくるぶしまでの袴を穿き、肩衣(かたぎぬ)という上着をつけた姿で登場します。

登場する演目

『棒縛(ぼうしばり)』『素袍落(すおうおとし)』など

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大名

威張りながらも失敗するどこか憎めない役

大名 だいみょう

大名は狂言のなかでは身分が高い役柄ですが、わずかしか雇い人がいない小さな領主ぐらいの設定です。烏帽子など格式のある服装をして、威張った態度を取りますが、自らの能力のなさで失敗したり恥をかいたりします。

登場する演目

『末広かり(末広・すえひろがり)』『蚊相撲(かずもう)』など

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女

口うるさいけれど働き者の妻

おんな

狂言に登場する女性は、行動力と愛情に富んでいます。頼りない夫を叱ったり励ましたりする「わわしい(うるさく騒がしい)」妻が、代表的な役どころ。「びなん」という白い布を頭に巻き長く垂らすのが、女性の役柄の印。男性の役者が、面を着けずに演じます。

登場する演目

『髭櫓(ひげやぐら)』『鎌腹(かまばら)』など

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山伏

いかめしいのに見かけ倒しの修行者

山伏 やまぶし

厳しい修行をして法力を身に付けたと自称する宗教者が、山伏です。数珠を揉みながら祈祷をしますが、偉そうに振る舞うわりには、その法力に効き目はありません。祈祷に失敗する滑稽な姿が、山伏を身近なものに感じさせます。

登場する演目

『柿山伏(かきやまぶし)』『菌(茸・くさびら)』など

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鬼

つい人にだまされるお人好し

おに

恐ろしい地獄からの使いのはずなのに、狂言の世界では人に歯が立ちません。人を食べたり地獄へ堕としたりするつもりで現われても、ついだまされ弱みを握られてしまう鬼たち。目も鼻も口も大きなつくりの面や赤い毛の頭巾を着け、竹の杖を持っています。

登場する演目

『神鳴(雷・かみなり)』『節分(せつぶん)』など

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