歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の演目
『義経千本桜』 よしつねせんぼんざくら
作品紹介
平家滅亡後に、兄頼朝(よりとも)と不和となった源義経(みなもとのよしつね)を軸として、生き残った平家の人々の動向を描いた「時代物」の「義太夫狂言」です。
 
壇の浦(だんのうら)で入水したと思われた平知盛(たいらのとももり)が、実は生きていて義経に復讐を企てる、通称「渡海屋(とかいや)」・「大物の浦(だいもつのうら)」、平維盛(たいらのこれもり)親子を守るため命を落とした、いがみの権太(いがみのごんた)を描く通称「すし屋」、佐藤忠信(さとうただのぶ)に化けた源九郎狐(げんくろうぎつね)が、義経から両親にゆかりの初音の鼓(はつねのつづみ)を授かる「河連法眼館(かわつらほうげんやかた)」[通称「四の切(しのきり)」]などの場面を中心に上演されます。
『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』・『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』と並び、「義太夫狂言」の3大名作の1つとされています。
「下市村釣瓶鮨屋の場」の一場面 12代目市川團十郎の権太 2代目片岡秀太郎の小せん 『義経千本桜』「下市村釣瓶鮨屋の場」 2001年[平成13年]11月
 
 
 
 
ストーリーや関連する情報については、こちらのコンテンツをご参照ください。
文化デジタルライブラリー 演目解説『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』
 
 
 
特徴的な表現
もどり
非道な行動をする悪人として登場した人物が、後に実は善人であったことを明らかにする演出を「もどり」といいます。
「すし屋」では、ならず者の権太が、実家にかくまっていた維盛の首を切り落とし、その首と維盛妻子の身柄を梶原平三(かじわらへいぞう)に渡します。それを怒った父弥左衛門(やざえもん)は、権太を刺します。ここで初めて権太は、首は実は偽物で、維盛妻子の身代わりとして自分の妻子を差し出したことを明かします。
「義太夫狂言」では、「もどり」のような意外な展開が多くあり、劇的な効果を高めています。