歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の演目
『積恋雪関扉』 つもるこいゆきのせきのと
通称 『関の扉』 せきのと
作品紹介
常磐津(ときわず)の舞踊で、通称は『関の扉(せきのと)』。『重重人重小町桜(じゅうにひとえこまちざくら)』という長い作品の大詰の舞踊部分だけが残った作品です。
舞台は、小町桜が咲き誇る雪の逢坂の関(おおさかのせき)。関近くに住む良峰宗貞(よしみねむねさだ)のもとに恋人の小町姫(こまちひめ)が訪ねてきて、関守の関兵衛(せきべえ)の素性を怪しむのが前半です。後半は、関兵衛が天下を狙う大悪人の大伴黒主(おおとものくろぬし)、遊女墨染(すみぞめ)が小町桜の精、というそれぞれの本性をあらわして争います。多くの場合、小町姫と墨染の2役は1人の女方が演じます。
 
 
 
特徴的な表現
見顕し みあらわし
隠していた素性や身分を見破られたことにより、自ら本性を明らかにする演出をさします。多くの場合、仕掛けによって衣裳を一瞬で変える「ぶっ返り」の手法が用いられ、視覚的にも本性をあらわしたことを表現します。この作品は、黒主だけではなく遊女墨染も小町桜の精に見顕すという珍しいケースです。
 

関兵衛の見顕しの瞬間 12代目市川團十郎の関兵衛実は大伴黒主 『積恋雪関扉』「逢坂山関所の場」 1991年[平成3年]1月