歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の演目
『菅原伝授手習鑑』 すがわらでんじゅてならいかがみ
作品紹介
平安時代の政治家菅原道真(すがわらのみちざね)が、藤原氏の陰謀によって左遷(させん)された事件などに取材した「時代物」の「義太夫狂言」です。
 
藤原時平(ふじわらのしへい)の陰謀によって流罪となった菅丞相(かんしょうじょう)が、伯母と娘に別れるときの奇跡を描いた通称「道明寺(どうみょうじ)」、三つ子の兄弟である梅王丸(うめおうまる)・桜丸(さくらまる)・松王丸(まつおうまる)が、敵味方に分かれて争う通称「車引(くるまびき)」、桜丸が、菅丞相流罪のきっかけを作った後悔から切腹する通称「賀の祝(がのいわい)」、松王丸が菅丞相の子菅秀才(かんしゅうさい)を救うために自らの子を犠牲にする通称「寺子屋(てらこや)」などの場面を中心に上演されます。
名作として江戸時代以来、何度も上演を重ね、『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』・『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』と並び、「義太夫狂言」の3大名作の1つとされています。
「寺子屋の場」の幕切 7代目尾上梅幸の千代 17代目中村勘三郎の松王丸 8代目大谷友右衛門の園生の前 4代目尾上菊丸(尾上菊史郎)の菅秀才 17代目市村羽左衛門の源蔵 4代目中村雀右衛門の戸浪 『菅原伝授手習鑑』「寺子屋の場」 1981年[昭和56年]12月
 
 
 
 
ストーリーや関連する情報については、こちらのコンテンツをご参照ください。
文化デジタルライブラリー 演目解説『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』
 
 
 
特徴的な表現
首実検 くびじっけん
「首実検」とは、切り首が本人のものであるかどうかを検分する[見て確かめる]こと、また場面そのものをさします。首を差し出す人物は、知恵を絞って身代りを立てて乗り切ろうとし、検分側は本物かどうかを念入りに見極めるため、緊迫感あふれる場面となります。
 
「寺子屋」では、武部源蔵(たけべげんぞう)が、菅秀才の身代りとしてその日に入門した子供の首を差し出します。この身代りによって「首実検」は乗り切りますが、この後この子供が、検分役の松王丸の息子であったことが告白される意外な展開を見せます。
この作品以外にも、「首実検」の身代りが、ストーリー展開の鍵を握る「義太夫狂言」は多くあります。
緊張感あふれる首実検の場面 3代目中村時蔵の戸浪 初代中村吉右衛門の武部源蔵 6代目尾上菊五郎の松王丸 『菅原伝授手習鑑』「寺子屋の場」 1943年[昭和18年]1月 歌舞伎座
 
 
 
・ 『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』
  通称「熊谷陣屋(くまがいじんや)」
 
・ 『近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)』
  通称「盛綱陣屋(もりつなじんや)」
 
> 『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』通称「すし屋」