歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の表現
下座 げざ
舞台下手(しもて)[向かって左]の簾(すだれ)のかかった部屋「黒御簾(くろみす)」で演奏されるため、「黒御簾音楽(くろみすおんがく)」・「御簾内音楽(みすうちおんがく)」ともいわれる伴奏音楽をさします。相当な数の曲目・演奏法がありますが、演奏楽器から大きく次の3つに分類できます。
鳴物[薄ドロ]とともに登場する仁木弾正 9代目松本幸四郎の仁木弾正 『伽羅先代萩』「足利家床下の場」 1998年[平成10年]11月
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1つ目は、三味線の伴奏に合わせて唄われる「唄(うた)」です。通常は、複数の「長唄(ながうた)」の「唄方(うたかた)」によって歌われますが、中にはしんみりした場面を効果的に表現するため、1人の「唄方」によって歌われる「独吟(どくぎん)」も存在します。『東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)』「元の伊右衛門浪宅の場(もとのいえもんろうたくのば)」のお岩による「髪梳き(かみすき)」の場面で歌われる「独吟」は、とりわけ有名です。

2つ目は、唄のない三味線曲の「合方(あいかた)」です。なお「合方」に歌詞をつけて歌われることもあり、この場合は「唄入り」とよばれています。

3つ目は、三味線以外の楽器で演奏される「鳴物(なりもの)」です。曲もありますが、各種効果音も多く存在します。

下座は演奏されるタイミングにより、さまざまな効果を上げますが、「幕開(まくあき)」・「幕切(まくぎれ)」や場面転換では「その場面らしさ」を、人物の出入りやせりふの最中には「その役らしさ」を表現します。つまり下座は、音によって舞台の雰囲気を作り出し、観客を舞台に引き込む役割を果たしているといえます。
 
 
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