歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の表現
歌舞伎の幕
歌舞伎の舞台上では、さまざまな種類の幕が効果的に使用されますが、その中から演出面で特徴的に使用される幕を解説します。
 
浅葱幕[浅黄幕] あさぎまく
 
振落しの瞬間
 
浅葱色[浅黄色]とよばれる鮮やかな水色の幕で、場面転換や舞台転換を観客に印象づける「振落し(ふりおとし)」や「振かぶせ(ふりかぶせ)」で使用されます。「振落し」は、舞台を覆っている幕を床に落とすことで、一瞬にして舞台が見える状態にする演出で、「振りかぶせ」は反対に舞台が見えている状態で、天井から幕を落とし瞬間的に舞台を覆う演出をさします。
 
 
 
道具幕
 
浪幕
 
具体的な風景が描かれた、大道具の幕です。「浪幕(なみまく)」や「山幕(やままく)」、塀を描いた「網代幕(あじろまく)」などがその代表として挙げられます。多くは、次の場面の大道具などを飾り付けている間に、観客の注意を引き付けておくために使用されます。場合によっては幕の前に、「仕出し(しだし)」とよばれる群衆の役が登場し、これまでのストーリーや、これから始まる場面の設定などをせりふのやり取りで説明します。
 
 
 
消し幕(けしまく
 
舞台で殺された登場人物が、引込むのを隠すときに利用される幕です。武士の世界を描いた「時代物(じだいもの)」では緋毛氈(ひもうせん)を、町人の世界を描いた「世話物(せわもの)」では黒布を使用します。
 
 
 
霞幕(かすみまく
 
霞幕
 
舞台上の「竹本(たけもと)」や清元(きよもと)などの演奏者が、演奏していない間や舞台から出入りするのを隠すために使用されます。白い布に水色の雲が描かれた布で作られており、霞のようなのでその名前があります。