歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の表現
人形振り にんぎょうぶり
人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)[文楽(ぶんらく)]から歌舞伎に移された演目である「義太夫狂言(ぎだゆうきょうげん)」において、俳優が人形の動きをまねて演じることをさします。多くは女方(おんながた)の役、特に娘役の感情が極限に達する場面で用いられます。
 
映像は、『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』通称「狐火(きつねび)」の八重垣姫(やえがきひめ)による「人形振り」です。恋人を助けたいと一心に思いつめる姫の動きが、「人形振り」で表現されています。「人形振り」で演じられる登場人物の背後には、必ず人形遣い役(にんぎょうつかいやく)の俳優がいて、体を支えながらあたかも人形を動かしているように「人形らしさ」を演出します。また「人形振り」の最中は、俳優はせりふをしゃべらず、「竹本(たけもと)」の語りで進行します。
 

人形振り 3代目中村鴈治郎(坂田藤十郎)の八重垣姫 5代目中村翫雀の人形遣い 『本朝廿四孝』「長尾謙信館奥庭狐火の場」 1999年[平成11年]11月