歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の表現
さまざまな役の表現
ここでは「その役らしさ」の表現を具体的な役に基づいて、解説していきます。下の写真をクリックしてください。
 
梅王丸 伊左衛門 関兵衛 実は 大伴黒主 蘇我入鹿 髪結新三 佐藤忠信 実は 源九郎狐 三浦屋揚巻 八重垣姫 切られお富
 
4代目市川段四郎の蝙蝠安 9代目澤村宗十郎の切られお富 『處女翫浮名横櫛』「赤間屋奥座敷の場」 1992年[平成4年]1月
切られお富 きられおとみ
『處女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなのよこぐし)』
かつての恋人の与三郎(よさぶろう)という男を助けるため、金を強請(ゆすり)にいく役です。後の場面では、出刃包丁を手に「立廻り(たちまわり)」を演じます。
役柄 悪婆 あくば
惚れた相手のために強請などの悪事を働いたり、刃物を振り回したりする女性の役柄です。もともと女方は悪役を演じませんでしたが、文化・文政年間[1804年〜1830年]に活躍した5代目岩井半四郎(いわいはんしろう)によって確立されました。粋で歯切れのよいせりふ回しに特徴があり、愛嬌と女の色気を要求されます。
 
 
衣裳 弁慶格子(べんけいごうし)の柄
「世話物(せわもの)」の人物の衣裳であるため、柄で役の性格を表現しています。「弁慶格子」は粋な印象を与える柄で、「悪婆」の役が強請に行く場面では、多くの場合この衣裳を身に着けます。
「悪婆」以外にも、『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』のいがみの権太(いがみのごんた)などでも使用されますが、格子模様の大きさは役の性格によって変えられています。
 
 
鬘 かつら  馬の尻尾 うまのしっぽ
後ろで髪を無造作に束ねた様子が、馬の尻尾に似ているため名づけられました。この無造作な様子が、男勝りに強請や「立廻り」を行なう「悪婆」の性格を表現しています。