歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の表現
さまざまな役の表現
ここでは「その役らしさ」の表現を具体的な役に基づいて、解説していきます。下の写真をクリックしてください。
 
梅王丸 伊左衛門 関兵衛 実は 大伴黒主 蘇我入鹿 髪結新三 佐藤忠信 実は 源九郎狐 三浦屋揚巻 八重垣姫 切られお富
 
7代目尾上菊五郎の三浦屋揚巻 『助六曲輪菊』「三浦屋格子先の場」 1977年[昭和52年]1月
三浦屋揚巻 みうらやあげまき
『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』 通称:『助六(すけろく)』
揚巻は、太夫(たゆう)とよばれる最高位の傾城(けいせい)で、ただ美しいだけではなく、貫禄も必要な女方の大役です。揚巻の扮装は、当時の吉原の傾城を基本にしていますが、舞台上で映えるようにより豪華で洗練されたものになっています。
鬘 かつら  伊達兵庫 だてひょうご
髱(たぼ)とよばれる髷(まげ)の下部が大きいのが特徴です。簪(かんざし)や笄(こうがい)、櫛(くし)など合計20本近くの髪飾りが使用され、豪華さを際立たせています。
 
 
衣裳 打掛 うちかけ  俎板帯 まないたおび
歌舞伎の衣裳の中でも豪華さでは屈指の衣裳で、太夫とよばれる最高位の傾城を表現しています。衣裳には、正月・桃の節句・端午の節句(たんごのせっく)・七夕(たなばた)・重陽の節句(ちょうようのせっく)の「五節句(ごせっく)」のモチーフがあしらわれています。写真で揚巻が羽織っている打掛の背中の部分には、正月に因んだ注連飾り(しめかざり)や門松などが縫い取られています。また帯は「俎板帯(まないたおび)」とよばれ、俎板のように広げたまま前に垂らした様子から名付けられました。刺繍(ししゅう)は、端午の節句を表す鯉の滝登りです。写真の場面の後には、七夕の笹と短冊を縫い取った帯に変えて登場します。
 
 
小道具 三枚歯の下駄
20センチ以上の高さがあり、重さは3キロ近くもあります。吉原の傾城が、練り歩く「道中」の時に実際に履いていた下駄をもとにしていますが、大きな鬘や豪華な衣裳とのバランスを考慮して作られています。