歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の表現
さまざまな役の表現
ここでは「その役らしさ」の表現を具体的な役に基づいて、解説していきます。下の写真をクリックしてください。
 
梅王丸 伊左衛門 関兵衛 実は 大伴黒主 蘇我入鹿 髪結新三 佐藤忠信 実は 源九郎狐 三浦屋揚巻 八重垣姫 切られお富
 
関兵衛 せきべえ 実は大伴黒主 おおとものくろぬし
『積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)』
関兵衛は逢坂の関(おおさかのせき)を守る関守(せきもり)ですが、それは仮の姿で、実は天下を狙う大悪人の公家(くげ)、大伴黒主(おおとものくろぬし)という設定です。
 
12代目市川團十郎の関兵衛実は大伴黒主 『積恋雪関扉』「逢坂山関所の場」 1991年[平成3年]1月
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役柄 国崩し くにくずし
大伴黒主のように、天下を乗っ取ろうとするスケールの大きな敵役(かたきやく)を「国崩し(くにくずし)」といいます。
 
 
衣裳 ぶっ返り(ぶっかえり)の仕掛け
映像のように関兵衛は、自ら本性を明かすと同時に、肩のあたりで止められている糸を引き抜き、上半身の衣裳を前に垂らして、瞬間的に衣裳を変えます。この仕掛けを「ぶっ返り」とよび、衣裳は関守の着付けから公家の着る「束帯(そくたい)」へ変化します。また「ぶっ返り」と同時に頭巾を取ると、髪型が「国崩し」で使用される「王子(おうじ)」へと変化します。
このように役の性格の変化に合わせて扮装が変わる演出には、役を端的に表現するという歌舞伎の扮装の特徴がよく現れています。