歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の表現
さまざまな役の表現
ここでは「その役らしさ」の表現を具体的な役に基づいて、解説していきます。下の写真をクリックしてください。
 
梅王丸 伊左衛門 関兵衛 実は 大伴黒主 蘇我入鹿 髪結新三 佐藤忠信 実は 源九郎狐 三浦屋揚巻 八重垣姫 切られお富
 
5代目中村富十郎の藤屋伊左衛門 『廓文章』「吉田屋奥座敷の場」 1992年[平成4年]12月
藤屋伊左衛門 ふじやいざえもん
『廓文章(くるわぶんしょう)』
商家の若旦那ですが、遊女夕霧(ゆうぎり)のもとに通い続けたために家を勘当され、現在では零落しています。
役柄 和事 わごと
みすぼらしい姿になっても、若旦那の育ちのよさを示す柔らかな身のこなしとせりふ回しは、「和事」という役柄で表現されます。伊左衛門役は、初代坂田藤十郎(さかたとうじゅうろう)が初演した『夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ)』までさかのぼることができます。そのため「和事」の代表的な役として、現在まで伝承されてきました。
 
 
 
化粧 白塗り しろぬり
「和事」の役は、「二枚目(にまいめ)」とよばれる色男の典型であるため、化粧は美しく真っ白な「白塗り」で表現します。
衣裳 紙衣 かみこ
伊左衛門の衣裳は、「紙衣」とよばれます。この衣裳は、もともとの身分は高いのですが、理由があって現在は落ちぶれている「やつし」とよばれる設定で使用されます。本来の紙衣は、和紙を貼り合わせて作られた粗末な着物ですが、舞台衣裳としては、恋文の一節を金や銀の糸で縫い取った模様で表現され、舞台で映えるようにデザインされています。