歌舞伎への誘い 〜鑑賞の手引き〜
歌舞伎の表現
さまざまな役の表現
ここでは「その役らしさ」の表現を具体的な役に基づいて、解説していきます。下の写真をクリックしてください。
 
梅王丸 伊左衛門 関兵衛 実は 大伴黒主 蘇我入鹿 髪結新三 佐藤忠信 実は 源九郎狐 三浦屋揚巻 八重垣姫 切られお富
 
5代目中村勘九郎(18代目中村勘三郎)の梅王丸 『菅原伝授手習鑑』「吉田社頭車引の場」 1981年[昭和56年]12月
梅王丸 うめおうまる
『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』 通称:「車引(くるまびき)」
梅王丸は、敵役(かたきやく)の藤原時平(ふじわらのしへい)に立ち向かう正義感あふれる若者の役です。
役柄 荒事 あらごと
若々しく正義感にあふれた性格を「荒事」という役柄で表現します。写真は「荒事」の代表的な「見得(みえ)」、「元禄見得(げんろくみえ)」の瞬間を写したものです。左足の親指が立っていますが、これも「荒事」の演技の特徴で、力強さを表現しています。
 
 
衣裳 柄:童子格子 どうじごうし
紫の大きな格子模様は「童子格子」とよばれ、子供であることを強調するときに使用される柄です。また襦袢(じゅばん)には、役名にちなんで梅の花が刺繍されています。
衣裳 帯:丸括 まるぐけ
「荒事」の役で使用される帯で、中には綿がたくさん入れられ筒状に膨らんでいます。全長は7メートル近くあり、体に3回ほど巻いて締めます。力強さを誇張する衣裳の1つです。
 
 
鬘 かつら 車鬢 くるまびん
側頭部の「鬢(びん)」を何本かに太くまとめ、油などで固めた鬘で「車鬢」とよばれます。「荒事」で使用される典型的な鬘で、『暫(しばらく)』の鎌倉権五郎(かまくらごんごろう)などでも使用されます。また梅王丸が元服前の設定であるために残っている前髪は、「掴立て(つかみだて)」とよばれる丸くふさふさした形で表現されています。この2つの部分を組み合わせた鬘で、「荒事」の若者の役を表現しています。
 
 
 
化粧 筋隈 すじぐま
正義にあふれ、血気にはやる様子を様式的に表現した「隈取(くまどり)」で、歌舞伎の「隈取」の中でも代表的なものの1つです。梅王丸の時平に対する怒りをよく表しています。