ユネスコ無形文化遺産 文楽への誘い An introduction to BUNRAKU

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文楽人形 首の種類

女役の首

女役の首は、男役の首より種類が少なく、動きの仕掛けもほとんどないので、役柄に応じてかつらや衣裳で変化をつけて用います。

むすめ
娘
老女方ふけおやま
老女方
傾城けいせい
傾城
お福おふく
お福
ばば
婆
八汐やしお
八汐
莫耶ばくや
莫耶
むすめ
娘

お姫様から町娘まで、未婚の娘はほとんどこの首を用います。動きの仕掛けはなく、わずかなしぐさだけでさまざまな感情を表します。歯を食いしばって泣くしぐさのために、手ぬぐいや袖を掛ける針が口についています。
時代物:『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』八重垣姫(やえがきひめ)、『絵本太功記(えほんたいこうき)』初菊(はつぎく)など。世話物:『曽根崎心中(そねざきしんじゅう)』お初(おはつ)、『新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)』お染(おそめ)など

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老女方ふけおやま
老女方

眉を剃った、中年の既婚女性の首。きりっとした顔立ちのものは時代物の武家の女房に、優しげな顔のものは世話物の女房役です。悲しむ役柄が多いので、口角はやや下向きです。目をつぶる仕掛けがあり、口元には娘の首と同様に針がついています。
時代物:『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』栄御前(さかえごぜん)、『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』戸無瀬(となせ)など。世話物:『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』お辰(おたつ)など

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傾城けいせい
傾城

美貌と教養を備えた遊女の役柄に用いられ、色気の中にも気持ちの張りを感じさせます。「立兵庫(たてひょうご)」という、豪華なかんざしや櫛のたくさんついた大振りな髪型に結いあげます。
時代物:『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』阿古屋(あこや)、『曲輪ぶんしょう(くるわぶんしょう)』夕霧(ゆうぎり)など

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お福おふく
お福

三枚目の女形の役柄。細い下がり目で鼻は低く、頬がふくれた、愛嬌のある顔だちです。時代物では腰元役、世話物では下女の役などに用いられます。
時代物:『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』豆腐買(とうふかい)など。景事:『釣女(つりおんな)』醜女(しこめ)

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ばば
時代物の婆

老女の役柄で、頬がこけ皺が描かれています。時代物では端正で気品のある首が、世話物ではやや寂しげな写実的な首が用いられます。
時代物:『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』覚寿(かくじゅ)、『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』勘助の母(かんすけのはは)など。世話物:『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』長五郎母(ちょうごろうはは)など

世話物の婆

左:時代物の婆
右:世話物の婆

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八汐やしお
八汐

敵役の老女方。眉間にしわの寄った、とげとげしい表情です。口を開き、目を寄せる仕掛けがあります。
時代物:『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』八汐(やしお)、『鶊山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)』岩根御前(いわねごぜん)など。世話物:『伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)』万野(まんの)など

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莫耶ばくや
莫耶

凄みのある恐ろしい表情の老女方で、時代物の敵役で用いられます。髪が白く、口と目が動きます。
時代物:『奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)』岩手(いわて)、『生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)』荒妙(あらたえ)など

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