歌舞伎事典
六方
武蔵坊弁慶(2代目市川猿之助)

六方【ろっぽう】

 特別に大きく手を振【ふ】り、足を力強く踏【ふ】みしめながら歩く演技です。
主に舞台【ぶたい】から花道【はなみち】を通って引っ込【こ】むときに行われます。六方では右手と右足というように同じ方向の手足を同時に動かして歩きます。
さまざまな種類がありその役の性格や気持によって、使い分けられています。

●飛び六方【とびろっぽう】
 片手を大きく振って、勢いよく足を踏み鳴らしながら花道を引っ込む六方です。力一杯【ちからいっぱい】走っている様子を表現しています。
『勧進帳【かんじんちょう】』の弁慶【べんけい】が引っ込む時に行うことで有名です。

●狐六方【きつねろっぽう】
 狐のような身振【みぶ】りをしながら花道を引っ込む六方です。手を軽く握【にぎ】って狐の手を表現します。『義経千本桜【よしつねせんぼんざくら】』の「鳥居前の場【とりいまえのば】」に出てくる源九郎狐【げんくろうぎつね】の引っ込みに使われます。

●傾城六方【けいせいろっぽう】
 『宮島のだんまり【みやじまのだんまり】』の主人公が行う六方です。この主人公は遊女の格好をしていますが、実は袈裟太郎【けさたろう】という盗賊【とうぞく】なのです。最後に花道を引っ込む時に、この六方を踏みます。上半身は男を表現して両手を大きく振り、下半身は遊女の足取りで歩くという不思議な六方です。

●泳ぎ六方 【およぎろっぽう】
 泳ぐような身振りをしながら舞台を退く六方です。平泳ぎのように手を動かしながら引っ込みます。4代目鶴屋南北【つるやなんぼく】作『天竺徳兵衛韓噺【てんじくとくべえいこくばなし】』の主人公、天竺徳兵衛の役を演じる時に使います。

<関連項目【かんれんこうもく】>
勧進帳だんまり4代目鶴屋南北
花道義経千本桜
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