(本文ここから)
『花鏡』は、世阿弥が40歳余りの頃から約20年間にわたって悟り得た芸の知恵を段階的に書きついだ伝書で、息子の元雅(もとまさ)に伝えられました。もとは「花習(かしゅう)」と題されていた論が、1421年(応永28年)までには「花鏡」という書名でまとめ直され、1424年(応永31年)に最終的な形が成立しました。
内容は「一調二機三声(いっちょうにきさんせい)」という発声方法から始まり、物まねについての教えや体の使い方など、演技論が中心の部分があって、続いて演出論・芸位論・稽古論など様々な論が展開します。自分が舞う姿を客観的につかむ「離見の見(りけんのけん)」や、わざとわざの何もしないでいる間を心でつなぐことを説く「万能綰一心事(まんのうをいっしんにつなぐこと)」など、興味深い内容が多く、世阿弥能楽論の中でも『花伝』とともに高く評価されています。

『花鏡』(奈良県・生駒山宝山寺所蔵)
(本文ここまで)





















