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うた沢(うたざわ)

うた沢は、幕末に、旗本・笹本彦太郎(ささもとひこたろう)[1797-1857]を中心として、端唄から派生した三味線歌曲です。1857年[安政4年]に浅草の嵯峨御所(さがごしょ)*1への請願が通り、笹本は歌沢大和大掾(うたざわやまとのだいじょう)を受領し、正式に公認されました。成立当初は、御家人、畳屋、火消し、魚屋など端唄の同好者であった武士と町人が一緒に活動しています。三味線は中棹(ちゅうざお)*2を、撥(ばち)は、他の三味線小曲で用いる物より重めにした物を用います。端唄や小唄に比べ、唄がより重視されゆっくりしたテンポで演奏することと、他の小曲にはない三味線の「前弾き*3」が特徴です。

《コラム》
「うた沢」の先生は「一中節」?

 
参考曲 楽譜・資料 注釈・コラム
*1
嵯峨御所(さがごしょ):
芸能者に掾号や許可を与えるなど、江戸時代に芸道を管轄した役所。
*2
中棹(ちゅうざお):
三味線で、棹の太さと胴の大きさが中程度のもの。種類が多く、義太夫節を除く各種浄瑠璃や地歌などで各様のものを用います。
*3
前弾き:
歌が始まる前の前奏部分。
コラム

「うた沢」の先生は「一中節」?

うた沢は、当時、品の良い浄瑠璃と定評のあった「一中節」を模範としていたことが、歌沢能六斎(うたざわのうろくさい)の『端唄一夕語(はうたひとよがたり)』にある「すべて一中ぶしをむねとすべし」という記述からわかります。


『端唄一夕話』
東京都立中央図書館特別文庫室
加賀文庫所蔵

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