文楽編 仮名手本忠臣蔵 Kanadehon Chushingura

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五段目 二つ玉の段(ふたつだまのだん)

コラムをよむ

勘平が道を誤ったことに、責任を感じているおかる。彼が再び武士の面目を取り戻せるよう、身を売ることを決意します。契約を無事に終えた父親は、帰り道で災難に遭ってしまいます


おかるは、夫・早野勘平(はやのかんぺい)の帰参を叶える金を工面するため、両親と相談の上、勘平には内密に、祇園町の遊女になることを決意しました。

おかるの父・与市兵衛(よいちべえ)は、祇園町で娘を売る証文(しょうもん:契約書)を取り交わし、前金の50両を大切に懐に納め、雨の降る夜道を1人で山崎へと戻ります。

背後から声をかける者がいます。斧九太夫(おのくだゆう)の息子で、山賊に成り果てた定九郎(さだくろう)でした。定九郎は、与市兵衛を無残に殺しました。財布ごと奪った50両の金にほくそ笑む定九郎。飛び出してきた手負いの猪を危うく避けた定九郎の背中を、鉄砲の玉が貫きます。

暗闇を探る勘平の手先に触れたのは、猪ではなく人の死骸。その懐の財布を天からの恵みとつかんだ勘平は、飛ぶように駆けて行きました。

コラム 暗闇の中の凄惨な姿―歌舞伎の定九郎―

歌舞伎の斧定九郎は、全身白塗りで素足の凄味のある浪人姿です。掛け稲の下で休息する与市兵衛の金を、稲の中からぬっと出た白い手が奪い、姿を現して与市兵衛を殺害し、刀を下がり[六尺ふんどしの前部にたらす布]で拭います。金を懐で数えてたった一言「五十両」。破れ傘を背に花道でのきまりが、いかにも色悪の花を感じさせます。鉄砲で撃たれ血反吐で白い膝を染め、もがき死にます。これらはほぼ無言で行われます。

コラム 和事味豊かな歌舞伎の勘平

「二つ玉」という呼び方は、歌舞伎では、揚幕(あげまく)の中と花道に出てからと、早野勘平が2度鉄砲を撃つからだとも、大きな猪を撃つとき、通常の2倍の火薬を使うからだともいいます。

この場の勘平は、和事味(わごとみ)豊かに演じます。「和事」とは柔らか味をもった演技様式で、柔弱な男性の行動を描写します。勘平の演出方式は、3代目尾上菊五郎(おのえきくごろう)および5代目尾上菊五郎により洗練されたものだといわれています。闇の中でのしぐさ、縄の扱い、死骸から財布を取り、花道を入るまで、精緻な型の記録があるといいます。パントマイムの極致といえるでしょう。

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