文楽編 仮名手本忠臣蔵 Kanadehon Chushingura

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大序 鶴が岡兜改めの段(つるがおかかぶとあらためのだん)

コラムをよむ

物語は、鎌倉の鶴が岡八幡宮から始まります。塩谷判官の美しい妻・顔世御前は、新田義貞の兜を確かめるために呼び出され、高師直と対面。これこそが、ドラマの発端となってゆくのです

暦応元年(1338年)2月、足利尊氏(あしかがたかうじ)は、新田義貞(にったよしさだ)を滅ぼして京・室町に幕府を置きました。鎌倉・鶴が岡八幡宮の造営が完了し、尊氏は、弟の直義(ただよし)を派遣します。

八幡宮で直義を迎えるのは、執事・高師直(こうのもろのう)と、その指示のもと饗応役(きょうおうやく:接待役)をつとめる塩谷判官(えんやはんがん)と桃井若狭助(もものいわかさのすけ)です。

直義は、義貞が後醍醐天皇(ごだいごてんのう)より拝領した兜(かぶと)を八幡宮の宝蔵に納めよという尊氏の命令を伝えました。若狭助は、新田の残党を手なずける計略であると悟ります。しかし師直は、尊氏の真意を解さず、若狭助と一触即発。そこを若狭助と同役の判官が収めます。

戦場から持ち帰った兜は「四十七」。どれが義貞のものか判別できません。そこで後醍醐天皇に女官として仕えた、判官の妻・顔世御前(かおよごぜん)を呼び出します。顔世は、名香とうたわれる蘭奢待(らんじゃたい)の薫りをとどめる兜を、選び出しました。

(注)この場面の饗応は、関八州管領となり鎌倉山に御殿を構えた直義が、諸大名を招いて大々的に行う宴のことを指しています。

コラム 人形浄瑠璃への敬意をはらう歌舞伎の「大序」

第231回歌舞伎公演
『仮名手本忠臣蔵』大序 口上人形

第231回歌舞伎公演
『仮名手本忠臣蔵』鎌倉鶴ヶ岡兜改めの場

歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』の「大序」には、人形浄瑠璃に敬意を表する興味深い演出があります。

まず、開幕前に役人替名(やくにんかえな:配役)を告げる「口上人形(こうじょうにんぎょう)」が登場します。

「四十七」回打つという口伝がある柝(き:開幕合図の拍子木)の音に合わせ、初めは静々と、やがて疾走するスピードで幕が開き、舞台の定位置で身じろぎもしない「人形身(にんぎょうみ)」の俳優達があらわれます。人形身とは、人形が人形遣いに生命を吹き込まれる前の状態を表しています。

語りが進むと、ひとりずつ袖をひるがえして人間に返ります。直義は貴人らしく袖をひるがえすだけ、師直は巨悪らしく大きく袖をひるがえし、ぐっ、ぐっ、と段階的に顔を上げ、ただひとりツケ入りの大見得をします。血気盛んな青年・若狭助はきっぱりと、温厚な判官は穏やかに袖を返して人間に戻ります。

人形浄瑠璃と同様に、歌舞伎もプロローグとしての格調を示しているのです。

ツケ[カゲ]

舞台下手(客席から向かって左)の船底(ふなぞこ:文楽独特の舞台構造)で、舞台においた板[狂言板(きょうげんいた)]を柝(き)で鋭く、良い間で打ち、動作の強調や緊迫感を盛り上げる効果となる。

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見得(みえ)

感情や動作の高揚が、頂点に達した時、一瞬動きを停止して、ポーズをとること。

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大序(だいじょ)

時代物初段の最初の部分。1曲の冒頭。竹本義太夫(たけもとぎだゆう)以来、大序と全ての切場は、最高位の太夫の持ち場とされたが、各切場を分担するようになってから、大序は、若手が御簾内で高い調子で数行ずつ入れ替わり語る、修業の場となっている。

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