大衆芸能編 寄席

  • サイトマップ
  • クレジット
  • このサイトについて
  • 索引
  • 寄席早わかり
  • 寄席の芸能
  • 寄席の歴史
  • 寄席への招待
前のページにもどる

寄席の芸能

大衆芸能のあらまし
  • 落語
  • 講談
  • 浪曲
  • 漫才
  • 太神楽
  • 奇術
  • その他の芸能

コラム

漫才と掛け合い噺(ばなし)太神楽曲芸の太夫と後見の口上のやりとりが発展して生まれた掛け合い噺は、のどかなやりとりで人々を楽しませるものでした。漫才にも影響を与えた掛け合い噺とはどのようなものだったのでしょうか。

ここで紹介するのは『掛合年始咄(かけあいねんしばなし)』という作品の一部で、酒を飲んでいたら盃にノミが入ったので狂歌を詠んだというやりとりです。

「盃へ飛び込む虫も飲み仲間、押さえてつぶすこともなるまい」

「ありがたいね」

「するとね、ノミが返歌したよ」

「まあ何だってね」

「えー、私が頭から押さえているものだから…」

「頭から…」

「頭から押さえられてはかのうまじ」

「ふむ」

「飲み逃げはせぬ、晩に来てさす、と」

「とんでもないことを言いやがったな」

「いやいや、まあどうも盃にさされるはいいが、ノミにさされちゃ寝られない。いまいましいから私が敷居へ持ってって…」

「ふむ」

「ヒョイとつぶすとね」

「どうしたい?」

「また洒落ているよ」

「どうかしたかい?」

「あのね、お前の酒にくらい酔って…」

「おや」

「敷居枕で…」

「どうしたな」

「あー、ノミつぶれた」

「冗談言っちゃいけない」

このように、一方が言ったことへ、他方が必ず反応しながら話題が進んでいくのが、掛け合い噺の基本的な形です。のどかで軽妙な味わいで、現在の漫才に比べると、ずいぶんゆったりとしたリズムに感じられますが、往年の漫才の録音を聞くと、このようなテンポで進むスタイルも多かったことがわかります。

今の寄席で太神楽が演じられるときも、体技だけに目を奪われず、演者の話にも耳を傾けてみると、おもしろさがいっそう深まるはずです。

注釈:ここでは『大衆芸能資料集成 第二巻 祝福芸Ⅱ太神楽』に掲載されている滑稽掛け合い噺を基本とし、漢字表記・句読点・改行等の変更を行っています。

ページの先頭に戻る