狂言の演目と鑑賞

前へ濯ぎ川(すすぎがわ)次へ

※新作狂言。大蔵流番外曲


  • あらすじ
  • 鑑賞のポイント
  • 詞章

妻と姑にこき使われている聟(むこ)養子の男が、山のような洗濯物を抱えて川にやって来ます。冷水に凍えながら洗濯をしていると、妻と姑が代わる代わる登場して別の用事を次々に言いつけるので、男はたまりかねて、「仕事を書き記してほしい」と頼みます。女2人が挙げたのは、一番鶏が鳴いたら起きることに始まる膨大なリストです。男は「ここに書かれていないことはしなくてよいのだな」と念を押します。やがて洗濯物の小袖が川に流れ、これを拾おうとした妻が足を滑らせて川に落ちて流れます。姑が妻を救えと言うと、男はそんな仕事は書いていないとやりこめ、今後はこの家の主人は自分であることを確認させた上で、姑の杖を使って妻を助けます。しかし妻は杖を奪い、溺れていたのにすぐ助けなかったと男を追い込みます。姑は書き付けを破り捨て退場します。

  • あらすじ
  • 鑑賞のポイント
  • 詞章

16世紀フランスの古典小咄「ル・キュヴィエ[洗濯桶]」を下敷きにして、劇作家・放送作家の飯沢匡(いいざわただす)[1909〜94]が1952年[昭和27年]に書き下ろした原作を狂言にアレンジしたものです。茂山千五郎家のレパートリーとして上演を重ねています。一見すると、古典的などんでん返しの狂言です。しかし、古典作品ではこのような場合、口うるさい妻と圧倒される夫の間に愛情がかいま見えますが、本曲の場合はそのような通い合いはほとんど見られません。後半、男が小袖を川に落とす件には、誤って取り落とすのと意図的に流すのと両様の型があって、演出により解釈が異なるのも作品の近代性を示しているとされます。

  • あらすじ
  • 鑑賞のポイント
  • 詞章

[冒頭の聟養子の男の名乗りより]
「まかり出でたる者は、この辺りに住まひ致す者でござる。某(それがし)が女共は殊(こと)のほかわわしい奴でござって、朝な夕な私を追ひ使ひまする。」

『濯ぎ川(すすぎがわ)』

『濯ぎ川』[大蔵流]
シテ[男]/2代目・茂山千之丞、アド[妻]/13代目・茂山千五郎
2008年[平成20年]4月25日 国立能楽堂第125回狂言の会 [写真:青木信二(国立能楽堂)]

ページの先頭に戻る