歌舞伎舞踊の作品と表現

当て振り

『関の扉』12代目市川團十郎の関守関兵衛実は大伴黒主
1991年[平成3年]1月 国立劇場 第164回歌舞伎公演

当て振りは詞章をそのままに表現する振りのことです。歌舞伎舞踊の振りには、「詞章そのものを表現する振り」、「その言葉の雰囲気を伝える振り」、「リズムにだけ合わせた振り」があり、これらが混ざり合って1曲が成り立っています。当て振りは「詞章そのものを表現する振り」で、例えば「山」という詞章では手で山の形を作り、「酒」ではお酌をして飲む動作をするなど、その形を直接的に表す振りを指します。

映像:『関の扉』

当て振りの極端な例として『関の扉(せきのと)』の「きやぼうすどん」と呼ばれる部分があげられます。「生野暮薄鈍情なし苦なしを見るように(きやぼうすどんじょうなしくなしをみるように)」という詞章を、「生野暮」は木、矢、棒の形、「薄鈍」は臼を引いてドンと音を立て、「情なし」で錠(じょう)の形を作り、手を振って「無い」ということを表現する、といったように、元の言葉に違う字を当てた振りになっています。

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