歌舞伎舞踊の作品と表現

作品の周辺

この作品は能『土蜘蛛』を元にしています。土蜘は土の中に巣を張る蜘蛛のことです。古代に大和朝廷に従わなかったために滅ぼされた民族を指す言葉でもありました。この古代の民族と中世の源頼光の武勇の伝説とが結びつき、頼光が土蜘を退治する物語が生まれ、やがて能の『土蜘蛛』が成立しました。能の『土蜘蛛』は『平家物語』を下敷きにしています。

歌舞伎舞踊では、江戸時代中期に、土蜘が人の姿になって現れ、頼光を襲うという舞踊が作られました。悪霊が主人公の立役の舞踊です。明治に入り、歌舞伎舞踊を格調高いものにしようという風潮の中で、能『土蜘蛛』を元にした歌舞伎舞踊の『土蜘』が誕生しました。能は長年、武士階級の芸能でしたから、格調高い芸能だという意識が当時の人々にあったためです。

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