歌舞伎舞踊の作品と表現

作品の周辺

江戸時代中期に初演された『枕獅子(まくらじし)』が元になっています。『枕獅子』は、前段が傾城(けいせい)[位の高い遊女]、後段が女の獅子になるというものでした。『鏡獅子』は『枕獅子』の詞章をほぼそのまま使っていますが、舞台を廓(くるわ)から大奥に変え、主人公も傾城だったのを大奥の御小姓にしました。『鏡獅子』を初演した9代目市川團十郎(いちかわだんじゅうろう)が、歌舞伎舞踊を格調高いものにすることを目指していたため、廓や傾城といった情事を連想させる設定が変えられたのです。また本来、獅子の舞踊は江戸時代中期に生まれた当初から、女方の担当でした。傾城や娘の恋の思いが高まり、獣(けもの)の力がとりついて獅子に変身するというパターンで、獅子の姿は女の一念の表現でもあったのですが、『鏡獅子』の誕生により、前段を女方で踊る「獅子の舞踊」から恋の思いの要素がなくなりました。

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